レザーカービングをやるときに必要なスーベルカッター。
スーベルカッターは買ってきたそのままでも一見刃が付いているようには見えて実はまだ十分研げていない状態なのです。
砥石で研いでさらに「青砥」と呼ばれるもので研ぐことではじめてスムーズに革に切れ込みを入れることが出来るのです。
私も私も初めて使ったときは、ちゃんと研がずにやってしまったので、きれいにカット出来ずカクカクした切れ目になってしまいました。
今回はスーベルカッターの研ぎ方を紹介します。
■ 砥石で研ぐ
買ったばかりのスーベルカッターなら刃こぼれもしていないし大きく角度が狂っていることもないでしょう。
それでもやはり刃は十分ついていません。
その上長く使っていたりいい加減に研いだ結果刃先に丸まっていたり段がついてしまっていることもあります。
そんな時はまずは包丁などを研ぐ砥石で研ぎます。
砥石の目の粗さ・細かさは刃の状態によって選びます。
刃こぼれしてしまったような時は荒砥からそこまででなければ中砥か仕上砥でいいでしょう。
ここで大事なことは「スーベルカッターの刃と砥石の角度を一定にして研ぐ」と言うことです。
でもなかなか素人には難しい作業です。
そんな時に便利なのが「角度調整器」です。
右下にあるのがそれです。
1000円くらいで購入出来ます。
スーベルカッターの刃先の部分だけ外してこの角度調整器に差し込んで希望する角度に固定して砥石の上で転がすだけで常に一定の角度を保って研ぐことが出来るすぐれモノです。
一般的にはスーベルカッターの刃の角度は30度くらいにするようなのでそれに合わせて調整してみましょう。
購入した角度調整器を横からみて「A・B・Cの三角形」とすると、Aが刃先が接する点、Bは角度調整器のローラーが砥石に接する点、Cは角度調整器の根元になります。
これは角ACBが直角で、刃先の角CABを30度とする直角三角形です。
三辺の長さはBC=1とするとAB=2、AC=√3になります。
この角度調整器の場合BCの長さを測ってみると25mmでした。
そうなるとABの長さを50mmにするか、ACの長さを43.3にすれば、刃先の角度を30度に研げることになります。
Cのところのネジをゆるめて長さを調整します。
砥石で研ぐときは砥石を水に沈めて十分吸わせておきます。
それから角度調整器に差し込んだスーベルカッターの刃を砥石にあてて一定のリズムで研いでいきます。
少し研ぐと研汁と呼ばれるモノ(昔は砥クソなんていってましたね)が出てきます。
これがあった方が研ぎがすすみますが最後の仕上げの段階では流してしまっても大丈夫です。
スーベルカッターの刃の表裏両面を同様に研ぎます。
この段階でもかなり切れる刃になったと思いますがさらに鋭利に仕上げます。
その際に使うのが「青砥」と呼ばれるものです。
これは板に貼った牛革の床面(ザラザラした方)にパフ仕上げに使われる青棒という研磨剤を塗りつけたものでこれに擦りつけて刃先を磨くのです。
男性なら床屋さんで顔剃りをやってもらうとき、ひげそりを革のベルトに擦りつけてから髭をあたってくれるのを経験した事があると思いますがあれも革でナイフを研いでいるのです。
青砥も販売されているものありますが簡単なものなので自作してみました。
適当なサイズの板を用意して、これに両面テープか接着剤で革を貼り付けます。
この時、片面には床面が出るように裏面には銀面(つるつるした革の表面)が出るように貼ります。
そして床面の方には青棒を塗ります。
青棒はホームセンターで売っていますがお店によってはダイソーなどの100円均一でもおいてあります。
青砥は柔らかいとはいえ固形なのでそのままでは床面にうまく塗れません。
ここで機械油などを床面に指で塗り伸ばしてから青棒をこすり付けるようにすり込みます。
今回、たまたま機械油がなかったので奥さんのツゲ串用のツバキ油を使っちゃいました。
使い方は簡単です。
最初は砥石で研いだスーベルカッターの刃を青棒を塗った床面の方に平らに当て手前に何度か引きます。
前後に動かすのではなく一方向に引くだけです。
刃の表裏を同回数研ぎます。
これが出来たら刃先に付いた青棒のカスを拭き取ります。
次に銀面を貼った方に刃先をあて同様に手前に引いて研ぎます。
ある程度研げたら革の端材にあててみて切れ味をチェックして不十分なら追加して研ぎます。
下の写真は研ぎの段階によるスーベルカッターの切れ味の違いです。
それぞれ直線とS字を描いてみました。
一番左は買ってきた状態のもの。
カットした跡はかなりガタガタしています。
二番目は砥石で研いだもの。
直線はまっすぐになりましたがS字はまだカクカクしています。
三番目は青砥の表裏で研いだものです。
S字カーブもかなりなめらかになりました。
一番右はその後も青砥だけで何度かこすって研いだものです。
左のものと同じくらいに力加減でカットしたつもりですが、スゥーーっと刃先が革に吸い込まれていくように深くカットされました。
これならフェザーカットもうまく出来そうです。
少し研ぐだけでこんなに違いが出るものなのですね。
※ レザークラフトをやるなら手縫いセットとレーシングポニーは必需品です。
コメント
wakumasa さんへ、
はじめまして。
職人の方ですね。
私はも手で何かつくるのが好きで、
DIYアドバイザーとかの資格はありますが、
まったくの素人レベルです。
模型づくりから電気工作、最近ではレザークラフトや
以前は和紙人形なんかも作っていました。
レザークラフトの作品は別サイトにありますので、おひまがあればご覧ください。
http://greenleaf.ddo.jp/leathercraft/
(私は昔パジェロioに乗っている時に「肘掛け」つくりましたよ)
wakumasa さんのブログも拝見させていただきました。
いろいろな事をされていて、
それに文章がおもしろくて引き込まれてしまいます。
ハーレー二台持ちとはうらやましい環境ですね。
今後ともよろしくお願いします。
卒検で落ち込んでる女の子の「はてなブログ」から来ました。
私は栃木県で砂型鋳造専門の木型屋をやっている者です。46歳です。
すごい技術です!革を彫刻する技術。私は木彫りが趣味なので貴殿の技術に共感いたしました。
また覗かせていただきます。
あ、私もハーレーダビッドソン2012年式FLHR103ロードキングと2014年式XL883Nアイアンを所有しています。