はじめて作ったにしてはまずまずの出来だったと自画自賛中の私用のロングウォレット。
その完成品を見た奥さんから「自分用にも作って欲しい、でもロングウォレットだと大きいからハーフウォレットがいい」とのリクエストをいただきました。
ヨッシャ!、と言うことで二つ返事で受けてみました。
ちょうどホワイトデーも近いのでそのプレゼントにしちゃいましょう。
今回もまずは完成品からご紹介します。
安受け合いしたものの型紙がないのでまずはここから。
ロングウォレットを縦半分にすれば「ハーフウォレット」、になる筈もなくあらたに型紙起こしからはじめます。
設計に入る前にクライアント(つまり奥さん)と入念な打合せで希望をヒアリングします。
・縦型か横型か
・コインポケットはチャック式、ホック式、かぶせのみ
・カードは何枚入るようにするか
・札入れの中に仕切りは必要か
・コインポケットとカード入れの配置、向きはどうするか
・外側のフラップ留めは右付きか左付きか
・周囲の仕上げはプレーンか革ひもかがりか
・厚手の革でがっしり仕上げるか、薄手の革でスリムにするか
こんな感じで使う人の好みに合ったものが出来るのが手作りの良さですね。
あとは実際に作りながら現物合わせで直接革をカットしていきます。
すべてのパーツを切り出しました。
・一番上の革が外側の本体になります
・その手前は内側とコインケース、カード入れのベースになります。
・左三枚はカード入れ
・その右の三角に折ってあるのはコインケースのマチの部分
・右のパーツはコインケース(本体とふたが一体化)
・一番右端はコインケースのふたの内側で、ホックを隠す役目もします。
一部は組み立てながらサイズを微調整してさらにカットします。
すべてのパーツを実際の場所に置いてみて全体のバランスを検証します。
問題なければすべての床面にトコノールを塗って平滑にしてコバも後では磨けない部分を丸めて擦っておきます。
コインケースは開けやすいように両側にマチを付け開封はジッパーではなくふた付きホックにします。
底とふたの根元の折り返す部分は革の床面をヤスリで削って薄くして曲げやすくしておきます。
コインケースをすべて組み立ててからだと本体内側のベースに留めにくくなるので、この部分だけ先に手縫いします。
カード入れも三枚の革を順に縫っていきます。
コインケースとカード入れ部分が完成です。
上の写真で外側の本体のパーツには周囲にすでに縁かがり用の平目打ちで穴をあけてあります。
本来は内側の革と重ねてから一緒に平目打ちで開けるのですが内側本体にパーツを取り付けてあるので厚みのある状態で打つとズレやすいので最初に外側だけ正確に開けておきます。
内側と重ねてから再度二枚一緒にもう一度平目打ちをします。
本体外側と内側を合体させます。
周囲3mm幅で接着面を荒らしてサイビノールを塗って接着します。
札入れ部分は内側が外側より短くしてあり折り曲げられるようにします。
フラップ部分もゆるやかなカーブを描いて90度になるように固定します。
少し大きめのターンクリップに、作品を傷つけないように端材の革をはさんでパーツを仮止めします。
こういう厚手の革の立体的な接着では接着力の強いサイビノールの600の方が適しています。
乾いて完全に接着出来たらコバを磨いておきます。
周囲をダブルステッチでかがり編みをします。
最後にすべてのパーツの銀面と周囲のステッチの革ひもにピュアホースオイルを擦り込んでオイル分を足しておきます。
これですべての工程が終了して完成しました。
製作期間は仕事から帰ってきて食事、風呂の後の数時間で四日間ほどかかりました。
下の写真はピュアホースオイルを擦り込んで間もない状態なので多少色ムラが残っていますが、すべて内部まで浸透すればムラは消えます。
本体下側には別革で飾りを付けようかと思いましたが全体の大きさもそう大きくないのと縁かがりもしてあるのであまり付けるとゴチャゴチャしそうなので止めました。
本体内側です。
コインケースも使いやすそうです。
カード入れは三枚ですがコインケースの裏にも隙間があるのでここにも入れる事が出来ます。
こうして出来上がったハーフウォレットですがホワイトデーには少し早いですが奥さんにプレゼントしました。
かなり気に入ってくれたようで、作った甲斐があったというものです。
※ ほかの財布・ウォレットの参考です
■ヌメ革の二つ折り財布
ビジネスシーンでも使えるシンプルな二つ折り財布を作ってみた
■二つ折り財布の作り方・スリムに仕上げた改良版
前回作った初めての二つ折り財布は、革の厚さと構造の問題から厚くなり過ぎたので、もっとスリムタイプに改良したものを作ってみました
■コードバンを使ってパーツ数を抑えたシンプル二つ折り財布
ビジネス財布でも高級品に使われるコードバンを表側に使った二つ折り財布です。
極力パーツ点数を少なくしてシンプルに仕上げました
■ロングウォレットの作り方
レザークラフトを始めた男性なら誰でも一度は作ってみたいと憧れる「ロングウォレット」です
■カービング付きロングウォレット
ロングウォレットの二作品目となるカービングを施した革をあしらって作ってみました。
今まで使っていたものと同じ仕様です
■ハーフウォレット
ロングウォレットを見た奥さんからの希望で作った、ハーフサイズのウォレットです。
縁かがりをして豪華にしています
■コードバンでシンプルな名刺入れ
表に黒光りする高級なコードバンを使い、内側には名刺がたっぷり収納できるようにヌメ革を立体成型して、ビジネスにも使えるシンプルなものにしました。
革の立体成型もやっています。
■すべてのレザークラフト作品です
※ レザークラフトをやるなら手縫いセットとレーシングポニーは必需品です。
コメント
don さんへ、
ありがとうございます。
ハーレーに乗り出してから
妻からもらったロングウォレットがきっかけで、
何となく始めたレザークラフトですが、
私の性に合っていたみたいです。
作品がちゃんと普段使いに役立つのがいいですね。
wakumasa さんへ、
そう言ってくださる方が多いので
趣味の範囲で、注文販売始めようかな。
実際にはそんなに量産出来ないので
利益はあんまり無いでしょうね。
これは・・・もうプロ職人の作りですね。
趣味の領域を超えてます。
インターネットで販売できますね。
私も欲しいです。ハーフウォレット!
凄いとしか言いようがありません(^_^;)
素晴らしい!(^^)v
ヒトミン さんへ、
今から作り始めたら、ホワイトデー間に合いませんよ。
うーん、ざーんねん(笑;
仕事としてではなくて、
あくまで趣味で楽しんでやってますので
手間とか材料費を考えず、気に入ったものが出来るのが
手作りの一番の良さですね。
ライディングブーツですか。
あの厚手の革をつま先の形に丸めるのが
かなり手こずりそうですが、
出来なくはないと思いますよ。
ベチケン さんへ、
手作りのプレゼントって、
時には「重い」ってこともあるでしょうけど
欲しい方の希望を盛り込んで
気に入ってもらえればいいでしょう。
naka さんへ、
私はnakaさんのようにカービングがまだうまくできないので
手縫い&縁かがりでがんばっています。
今回はすべての型紙を作らず、
現物合わせでざっくりやってみました。
革の厚みは、
・外ケース:3mm厚
・内側ベース/札入れ:2mm厚
・コインケース:1.6mm
・カードドルダーとコインケースのマチ:1mm
です。
何時もながらお見事な作です。
参考にさせてもらって良いですかね。
因みに革材は何ミリ厚ですか?
wonderful!!
素晴らしい!一生の宝物です、ね。
ここはひとつワタシにもホワイトデーのプレゼントくださいwww
それにしてもメカ好きおじさんはほんとに多才ですねー。
既成品だとなかなかぴたっとくるものがないので自分でパパっと作れるといいですねー。
次はライディングブーツあたりいかがです?ww