少し前のことです。
リアのストップランプの配線を直した時、ブレーキを掛けた時の動作を確認しようとしたらリアブレーキペダルを踏んだ時は点灯したのに、フロントブレーキを握った時にはストップランプが点灯しませんでした。
こういう時の原因は90%以上、ハンドルのスイッチボックスの中のブレーキスイッチの頭の部分が破損しているのです。
今回もブレーキレバーの根本のところをのぞいてみたら、やはりスイッチの頭がなくなっていました。
元々ハーレーのこの部分は壊れやすいと評判になっています。
それは構造上の問題です。
通常「スイッチ」といえば出っ張りの部分が押された時に「オン」になるのが普通でしょうけど、ハーレーの場合は普段は押されて引っ込んでいて「オフ」、レバーを握った時にはスイッチの頭が飛び出て「オン」になるという反対の構造になっています。
図に書いて説明してみます。
普段は右の状態でレバーの根本でスイッチを押したままなので「オフ=ストップランプは点灯せず」、レバーを握ると左のようになってスイッチの頭が出てくるのです。
なぜこの構造だと壊れやすいかというと、ハンドルグリップやアクセルケーブルの交換、ブレーキレバーやスイッチボックス、スイッチのメッキパーツとの交換などで、レバー部分とスイッチボックスの組み込みの際、レバーを離した右図の状態でスイッチボックスのブレーキスイッチの飛び出ている頭の部分(左の図の出っ張っていパーツ)を押さえつけて壊してしまうのです。
こうなるとこのブレーキスイッチは修理できずに交換になります。
ディーラーで純正パーツを取り寄せて修理を頼むとなるとパーツ代が6,7千円に修理代が同額以上掛かることがあります。
パーツ代はともかく修理作業はそれだけ手間の掛かるものです。
今までにグリップ交換やスイッチ、スイッチボックスのメッキパーツへの交換などやってきた私も、出来れば避けたい作業です。
まずはパーツを入手します。
ハーレーのほとんどのパーツは本国アメリカでも純正ではないサードパーティ製のものが販売されていて日本でも入手可能です。
今回も1000円ちょっとのものを通販で注文しました。
届いたものは純正のものとは少し高さが高いですが十分互換性があるのでこれで大丈夫です。
ただ付属してくる熱収縮チューブは太すぎるしケーブルを固定するタイラップも大きすぎます。
隙間に挟んで固定する金具もこれは使わずに元々あったものを使います。
壊れたスイッチ(左)と新しいもの(右)です。
頭の部分が取れているのがわかります。
実はこの壊れているパーツも、以前にも一度破損して私が交換した互換品です。
作業したのは少し前の日でしたが、休みのこの日は朝の気温が氷点下!
極寒の中での作業となりました。
作業を始める前に、タンクやロアーフェアリングを傷つけないように大きめの毛布などでカバーしておきます。
手には極薄のゴム手袋をはめます。
パーツを持った時の感触を残しながら、グリップやパイプ、アクセルケーブルなどのグリースで手が汚れるの防ぎます。
ここで大事な事があります。
上にも書いたようにブレーキレバーが通常のままだと、作業の時にまたスイッチの頭を潰してしまいますので、レバーの根本の部分にダンボールやゴム片などを挟んでレバーを握った状態にしておくことです。
最初にバッテリーのターミナルを外しておきます。
スイッチボックスを分解する前にアクセルワイヤーを緩めておきます。
アジャスターの固定ナットを緩めてから調整ナットを緩めます。
ブレーキオイルのリザーバータンクを固定しているビス(赤丸)は、完全に外さずに緩めるだけで大丈夫です。
スイッチボックスは上下二箇所のT25ヘクスローブを緩めて分解します。
付いている平ワッシャーをなくさないようにします。
スイッチボックスを上下に分割してブレーキスイッチを取り出したら、付いている壊れたスイッチの配線をカットして新しいブレーキスイッチをハンダ付けします。
この作業も極寒の屋外にACコードを引いてきてハンダ作業をします。
二本のケーブルには極性はないのでどちらに繋いでも大丈夫ですがケースの中でケーブルが交差しないようにします。
カットする位置は二本でずらしておきます。
それぞれにあらかじめ細めの熱収縮チューブをかぶせておき、ハンダ付け後に収縮させて絶縁しておきます。
ビニールテーブルで代用すると夏場にケース内が熱くなったり、経年劣化で剥がれてくるとショートする危険がありますのでおすすめできません。
ブレーキスイッチはこの向きに取り付けます。
左側の隙間にはV字型の金属板を挟んで固定します。
配線ケーブルは上記のままだとケースに収まらず、ケースがうまく隙間なく組み立てできません。
必ず下のように取り回しします。
写真ではわかりにくいですが、この時に右上のターンシグナルスイッチを固定しているプレートに配線チューブを小さめのタイラップで固定します。
ケースを組み立てる際にはこのアクセルケーブルの先端に付いている真鍮製のタイコを無くさないようにします。
取り付ける向きにも注意します。
最後にブレーキレバーのあるブレーキオイルホルダーとスイッチボックスを組み合わせますが、この時にレバーの根本(赤丸)で、ケースから出ているブレーキスイッチ頭の部分を壊さないように注意します。
さて最後にヒユーズの写真が出てきました。
作業途中でスイッチの配線がケースに接触してショートしてしまい、アクセサリーヒューズが切断さえてしまいました。
バッテリー近くのヒューズボックス内には予備のヒューズがありますが、それはツーリング先で使うものとして別途ヒューズを用意したのです。
上の方のバッテリーの写真で、ヒューズボックスが写っていたのはそのためです。
これで作業は終了です。
難しいという訳ではないですが、手間が掛かるのであまりやりたいものではないですし、上にも書いたように走行中に断線、ショートなどすると走行不能になったり、ストップランプが点灯しなくなって後続車から追突される恐れもあるので、自信がない方は素直にディーラーやハーレーのカスタムショップに依頼したほうがいいでしょうね。
コメント
ジン さんへ、
なるほど、途中の配線不良で
ランプがつかなくなることもあるんですね。
スイッチの発注をキャンセル扱いにしてもらえて
よかったですね。
メカ好きおじさん 毎度です^^
オレのフロントブレーキもランプが点灯しなくなり、
昨年夏にマスターごと変えたのに、
もう壊れたのか・・・やはり純正でなくとも
あの部分は脆弱だなと思ってスイッチを注文したのですが、
タンクあたりで配線が接触不良を起こしてるだけでした。
ギボシ端子でつないでたので・・・
純正のときに一度交換したことがあったので完全に思い込みでした。
すでに部品は到着してたあとでしたが、ショップの計らいで部品はキャンセルしてもらえました。
経験があるだけに早とちりしてしまいました。