今の鉄道模型の主流は9mm幅レールのNゲージですが、私が子供のころの40、50年前はHOゲージがほとんどでした。
ウチにも父親が好きなこともあって、何両かのHOの車両やレールセットがありました。
コントローラーは、父親の手作りのパワーパックでした。
父が買ってきたのは中長距離の旅客列車でしたが、私は蒸気機関車や貨物車が好きでした。
しかし中学、高校生という身では、D51やC62などの大きな車両は高価で手が出ず、おこづかいを貯めて買ったのは動輪が二つの小さなB形蒸気機関車でした。
買ったのはつぼみ堂模型店のもので、BタンクとBテンダーを何両か購入して、レールの上を貨車を牽引させて遊んでいました。
当時買ったものが今でも一両だけ残っています。
先日の「科学教材社の今」で紹介したものがそれです。
当時買った時のまま、箱もあります。
「塗装済みキット」「Bテンダー」「(有)つぼみ堂模型店」電話番号が見えます。
組み立て説明書が英語だったのは、当時輸出で売上をあげていたためでしょう。
つぼみ堂のBタンク、Bテンダーともに真ちゅう製のボディに黒メッキではなく塗装だったので、レールの上で遊んでいるうちに塗装がはげて地色の真ちゅうの金色が出てきました。
ほかのBタンクなどは、タミヤのプラスプレーなどで自分で塗装していました。
今手元にあるこの車両は再塗装ではなく、当時の塗装そのままのものでハゲもほとんどなく、自分でもよく残っているなと感心します。
またボディに貼る金色の丸い番号シールも、貼らずにそのまま残っています。
底の部分のネジなどにもさびはありません。
中に入っているモーターはKTMのDC-18で、ウォームギアをかみ合わせています。
運転室内いっぱいにモーターがどーんと存在していますので、室内には造形部分がありません。
今、このKTMのDCモーターのDC-18AとDC-18Bが単体でそれぞれ残っています。
自分で買ったものでしょうけど、18Aと18Bの違いがどこにあるのか今となってはわかりません。
鉄道模型というのは二本のレールにそれぞれ直流のプラスとマイナスを流し、車輪の一部で給電してそれでモーターを回していました。
今のNゲージより大きくて重い車両を動かすためにモーターも大きく、流れる電流も12Vとはいえ電流もそこそこありました。
当時、レールの上で何周か走らせると給電していた車輪とレールにカーボンが溜まって、うまく電流が流れないことがありました。
かなり昔は番手の細かい紙やすりでこすっていましたが、摩耗をさけることは出来ません。
ピカールなんかもつかってみましたが手間が掛かる割にうまくいきませんでした。
マルス-ファイブレイザー(MARS-FIBRASOR)
その後使っていたのが、デザイン用品のステッドラーから出ていたグラスファイバーを束ねて文字を消す「マルス-ファイブレイザー(MARS-FIBRASOR)」でした。
これで軽く車輪をなでると簡単におもしろいようにカーボンを落とす事が出来ました。
このマルス-ファイブレイザーは、ファイバーグラスが体にも環境にもよくないという理由で本国ドイツでも製造が終了になってしまいました。
当時のHOゲージのものはレールのほかにも、信号機や車両止めなども残っています。
ポイントもいかにも電磁石というスタイルのものがあります。
今、住宅事情などで鉄道模型は小さなNゲージになっていますが、大きなHOゲージの木製の道床付きレールの上で走らせると、実車さながらにつなぎ目での「ガタン、ゴトン」という通過音には哀愁を感じますね。
コメント
あお さんへ、
コメントをお寄せいただきありがとうございます。
まさかつぼみ堂に関係のある方からいただけるとは
思ってもいなかったの驚きました。
おじいさまがやっていらっしゃった会社なのですね。
記事の中にも書きましたが、
説明書が英語になっていたのが
輸出を手がけていらっしゃった証だと思います。
私も父が鉄道模型好きだった影響で
興味をもつようになりました。
といっても中学高校生では大きな編成車両や
大型蒸気機関車はなかなか手が出なかったのですが、
つぼみ堂模型店のBタンクとBテンダーは
当時の私のような者にはありがたい製品でした。
今主流のNゲージより大きなHOのレールは場所も取るため
小さな蒸気機関車に数量の貨車を引かせて走らせていました。
小型といってもつぼみ堂さんのB蒸気は、
かわいらしいスタイルがとても気に入っていました。
車両本体だけでなく、箱も説明書もかなりキレイに保存しています。
私にとっても子供の頃の大切な宝物です。
これからもちゃんと保存していきたいと思います。
貴重な思い出話、ありがとうございました。
懐かしいものを拝見しました。
実はつぼみ堂模型店をやっていたのは私の祖父でして、小さな子供の頃は職人さん達にも良く遊んでもらったものでした。
当時は輸出が経営を支えていた割合が大きく、石油ショックなどの影響でとっくの昔に廃業してしまいました。(・・・らしいです。母に聞きました)
申し訳ないことながら私自身は鉄道にそれほど興味を持つこともなく育ってしまい、今手元には当時の模型などは全く残っておりません。
それでもじいちゃんの作った懐かしい模型を今でも大切に持っていてくださる方がたくさんいらっしゃるのは大変にうれしいものです。
今後とも大切にしていただければうれしく思います。
良い物を見せていただきました。ありがとうございました。
イサカ さんへ、
Oゲージですか!
HOの倍のレールサイズで迫力ありましたね。
昔の外国映画で広い子供部屋で遊んでいるイメージがありました。
今は残っている車両もすくないんでしょうね。
メカ好きおじさんへ
懐かしいです。
私が子供の頃、我が家にはレールの真ん中に集電用のレールがあるOゲージがありました。
交流コントローラーがトランスタップのノッチ式、車両も真鍮か鉄製で重たく、迫力ありました。
すべて(私に)分解されて現在は跡形もありませんが、あればプレミアムがついていたでしょうね。