ハンドルのブレ問題などもあって外していたキング・ツアーパックですが、それでもあの積載量と雨や盗難の事を考えると、もう一度なんとか搭載出来ないかと考えていました。
軽量化を図る為パーツの重量を量って外して搭載したのは前に書いたとおりです。
この記事は、まだ家の中にあるウチに、前から気になっていた内側部分の塗装をやってしまった内容です。
ツアーパックの外装は塗装屋さんにお願いして黒塗装に仕上げてもらいましたし、タンクやフェンダー、後付けのやっこカウルに合わせて、自前でシルバーのラインテープを入れてあります。
でも内側は、昔のままなのでどうしてもプラスティックの劣化した感が否めません。
普段はいいのですが、パーキングに停まって開けた時、ツアーパックの蓋はガバッ!!という感じで大きく開くので結構気になります。
下のボックスは荷物も入っていますし、あまり見えないからいいのですが、どうしても蓋の内側が気になります。
以前は遮熱の為もあって硬質スポンジを取り付けていましたが、これも今一でした。
それで今回、自家塗装する事にしました。
バイクのカウルやタンク、フェンダーについては他の方も大勢書いていますし、そちらの方がもっと役に立つ内容だと思いますが、初心者の方向けに書いてみました。
特に、一般的なツヤありスプレーを使って、梨地仕上げのツヤ消し塗装としてみましたので、これも合わせて書いておきます。
一般的に梨地に仕上げるには、粗めのサンドブラストなどを掛けて素地を荒らし、その上に塗装する方法が用いられる事もありますが、私のような設備を持っていない一般素人が扱えるものではありません。
今回はそんな複雑な機材など一切使わずに、安価な缶スプレー一本だけで行う梨地(風)仕上げを公開します。
出来上がりの感じは、この記事の写真でご判断ください。
■用意したもの
・スプレー ・・・ これが無いと始まりませんね。
今回は少し濃いめのグレーで、
あまりツヤの無い仕上げにしたくて、
色々探しましたが気に入ったのが見つからず、
結局、どこのホームセンターでも手に入りやすい
水性ラッカー系の「ブラックグレー」という
缶スプレーでした。
1本 約800円
・プライマリー・・・塗装する部分への塗料の食い付きを良くする為に
プラスチック用のプライマリーを購入しました。
1本 約800円
タンクやフェンダーのようにキレイな光沢のあるツヤや耐久性を求めるにはこのスプレーは合いませんが、ケースの内側なら問題ないでしょう。
それにこういう濃いめのグレーの色って、車やバイクの外装に使われることが少ないのか、カー・バイク用のスプレーではあまり見掛けませんでした。
たいていガンメタのようにメタリック系が多いですね。
あとは、自宅にあったものですが、
・マスキングテープ 塗りたくない部分との境目を付けます。
40mm幅のもの 1個 約150円
・耐水性の紙やすり 番手は600番くらい
・使い捨てビニール手袋、マスク、それに新聞紙・チラシくらいです。
■下準備(シール剥がし)
ケース内側には注意事項を書いたいくつかのシールが貼ってあります。
これらは全部剥がしてしまいます。
剥がした跡はベタ付きが残らないように、無水アルコールやベンジン系で拭いておきます。
■下準備(マスキング)
マスキング処理は通常下地処理の後にしますが、今回はケースの内側のみの塗装と、塗り分けが単純なので先にマスキングテープを貼ってしまいます。
穴の開いている所は裏から、出ているビスをカバー、テールランプのソケット穴や金属ステー部分にもマスキングテープを貼っておきます。
■下準備(足付け)
塗料が食いつきやすくするためにプライマリーを塗るのですが、それ自体も食い付き良くするためにサンドペーパーで軽くならしておきます。
削りカスが飛ばないようにするために、普通の紙やすりではなく耐水ペーパーを使います。
通常は800番程度の細かいもので行いますが、今回は外装部分とは違って平滑である必要が無いのと、ツヤ消しあるいは梨地仕上げにしたいので、もっと荒い400番程度のもの使いました。
広い平な部分だけでなく、溝部分やへこみ部分にもヤスリを掛けて、全体をツヤ消し状態にします。
■清掃
上記の削りカスを取るために、中性洗剤を使ったウエスで拭き上げます。
次に、塗装面に残った油分を落とす為に「脱脂」をします。
本当はシリコンオフ等を使うのですが、今回は同じ「油分を落とす」という事で、パーツクリーナーを使ってみました。
たぶん、プロや専門家の方からみればダメだしされそうですが、自己責任でやってみました。
キッチンペーパーにパーツクリーナーをスプレーして、すこしづつの面積ごとに拭いていきます。
ウエス等を使うと、布に油分が残っていたり糸くずが残るのでお勧め出来ません。
■プライマリーをスプレーする
塗装に入ります。
風が無く、湿度の低く、気温の高い方がいいのですが、この時期(2月)は、湿度も温度も低いです。
それでも塗装した日は陽射しもあり、日陰で8度、陽の当たる場所に放置した温度計は10数度になっていました。
こんな日に塗装する時は、缶スプレーを湯せんすると中のガスの圧力も高まって安定し、細かいきれいな霧状にスプレー出来ます。
熱すぎるのは危険なので、50度のお湯をバケツに汲んで5分ほど漬けておきました。
■本塗装
いよいよ本塗装です。
スプレー缶はプライマリーと同じように湯せんで暖めておきます。
今回はツヤありスプレーを使って梨地仕上げ風にするので、あまり気をつかわずに吹きます。
塗装はストップランプユニットの下とか、コーナー、溝の中とか、塗装が行き渡りにくい所を一回目にスプレーします。
一回に多くスプレーするとツヤが出てしまいますので、少なめにスプレーします。
スプレーした後は、ゴミは付着しないように上にカバーをして覆っておきます。
一回目は10分ほど乾かした後、二回目のスプレーをします。
この時も、薄め、少なめを心がけてやります。
同じく20分ほど乾燥させてから三回目をスプレーします。
この段階でほぼ全体の色が出てきました。
仕上げの四回目は、30分以上しっかり乾燥させてから行います。
下の写真はケースの下部の塗装前、1回目、2回目、3回目の状態です。
梨地にするために、スプレーは塗装面から40cm以上離します。
こうすると塗装面に塗料が着く前に乾燥するので細かい霧状に塗装が乗ります。
また、スプレーを出しっぱなし(頭を押しっぱなし)にせず、ワンプッシュずつ押すと、吹き始めの所が少しダマのようになって、より一層梨地っぽくなります。
この辺は好みなので、こういう仕上げが好きな方だけ試してみればいいでしょう。
これを少しずつのブロックでやっていって、気に入ったザラザラな仕上げになるまで繰り返します。
今回は300ml入りの普通サイズのスプレー缶一缶で、本体と蓋の両方の内側が塗れて、まだ余っていました。
最後の乾燥は、最低でも3日以上はやっておいた方が塗装がしっかりすると思います。
ツヤありスプレーを使った梨地仕上げとしてはまずまずの仕上がりでした。
■マスキングを剥がす
ある程度乾いた所で、マスキングしてあったテープを剥がします。
乾燥する前に剥がすとテープが塗装面に触れて、最悪の事態になることがあります。
この瞬間が、緊張しつつも仕上がりに近づいて一番楽しい時ですね。
■外したパーツを取り付ける
ヒンジ部ヤラチェット部、ケーブルサポートや内側のポケット、ストップランプユニット等を取り付けます。
■不要な穴をふさぐ
今回計量化するにあたり、今まで付けていたパーツ(ハイマウント・ストップランプ、ラゲッジラック)、使っていた鉄の底板は使わなくなりました。
これらのパーツを取り付ける為に開いているツアーパックの穴があいたままでは、見た目がカッコ悪いのと雨の時に内部に水が浸入しないようにする為に穴を塞ぐ必要があります。
本格的に塞ぐには、塗装する前にパテで埋めてしまえば簡単でキレイに出来ますが、すぐにまた使いたくなる可能性もあるので、穴は開けたままで、見た目に塞ぐ事にします。
今回やった方法は三種類です。
まずは、ボディと同色のツヤあり黒の屋外用カッティングシートを、穴より少し大きめに切って貼り付けます。
丸い穴はテンプレートで適当なサイズの円を描き、いくつか隣接している穴は楕円形に線引きし、これに沿ってカットします。
このままでは表からは穴は塞がっていますが、内側から見ると穴が残っていますので、ここにグレー色の硬質スポンジをポンチで丸くくりぬき、これを穴に詰めて塞ぎます。
二番目の方法は、市販されている穴塞ぎ用のキャップを使う方法です。
穴と表面の径にあわせて適切なサイズのフリーキャップ(今回は10個で168円でした)を購入します。
これを表側から差し込んで留めます。
足の部分が二股に開くので自動的に留まります。
穴径が大きくてガタガタしたり、より防水性を高める為にはゴムホースを使います。
これは外径9mm、内径6mmのゴムホースで、切り売りで30cmで90円でした。
これをツアーパック本体の板厚に近いサイズにハサミでカットします。
そして穴に入れた後、ここに先ほどのフリーキャップを差し込んで留めれば、足が開く事でより密閉度が高まって、ガタつきも防水性も改善されます。
最後の方法は、ビスで塞いでしまう方法です。
普通のビスではなく、頭の薄い(「ハゲ」ではないですよ)黒いビスを使い、同じく黒いワッシャーやゴムワッシャーで目立たないようにして留めます。
上記のいずれの方法も、また穴を利用したくなったら簡単に外し事が出来ますので便利です。
こうして出来上がった完成形がこちらです。
実は、今回ツアーパックにはもう一ヶ所小さな改造を加えました。
「その部分」は、この最後の写真でも見えていますがたぶん気がつかないと思います。
その内容はまた次回で。。。。(to be continued)
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